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無料で読めるおすすめミステリ小説〜〜9選〜〜

著作権が切れているので、iBooksやなんやらで無料でダウンロードできる、オススメのミステリを紹介します。

※まだ無料で読めますが、これから著作権法どうなるんでしょうか。

ミステリーという区分すら無かった時代の作品が多いので、犯罪小説だったり探偵小説だだったりしますが、比較的短めで簡単に読めて、面白いと思うものを集めました。


1.夢野久作/『鉄槌』164ページ

全人類が読むべき面白さ。

主人公の数奇な人生を描いているのですが、はじめから最後まで『鉄槌』をテーマに掲げながら、最後の3ページ、そして最後の一行でその意味が180度変わる。

それでいて全てが『鉄槌』というタイトルに集約する。その構成力に感嘆します。

今で言うところの、帯に『どんでん返し!』と書いているミステリみたいな。しかし、夢野久作のすごいところは、あの時代にこれを書いたことに尽きます。

鉄鎚

鉄鎚

2.宮沢賢治/『毒もみのすきな署長さん』18ページ

この短いページ数で、プラハという国の毒もみという犯罪が起こった一部始終を描いている、構成力がすごいです。

また、犯罪が起きた時の、街の人や、えらい人や、犯人の描写がすごくリアルです。

最後の数ページで展開が一気に動き、そこが面白いのですが、特にいちばん最後のページ。そのラストに、みんな驚くと思います。

3.エドガー・アラン・ポー/『モルグ街の殺人事件』158ページ

みなさんご存知の通り、犯罪小説のプロトタイプと云われる小説ですね。その時代には、恐怖小説という位置付けにあったそうです。

探偵すら出てきません。出てくるのは精神分析家です。

ミステリというものが広く浸透した今読むと、そんなに面白く感じないかもしれません。しかし、先駆けとなった作品ですから、読んで損はないです。逆に目新しく感じたりもします。また、自分が読んだ限りは、描写がシャーロック・ホームズによく似ていると感じたので、ホームズを面白く感じたなら、読んでみてもいいかもしれません。

モルグ街の殺人事件

モルグ街の殺人事件

4.岡本綺堂/『人狼』146ページ

人間の中に紛れ込んだ人狼を描いた、恐怖小説です。

文体は、登場人物の名前の下に台詞が書いてあり、行動は括弧書きで表される、劇の台本の形をとっています。シェイクスピアと同じような文体です。

群像劇としても読めるし、閉鎖空間で巻き起こるパニック小説としても読めます。また、キリシタンが出てきたり、昨今は人狼ブームもありましたが、これを読むことで、より深く、ありありと、人狼の世界を思い描くことができます。

人狼

人狼

5.夢野久作/『二重心臓』351ページ

夢野久作は、多くの犯罪小説、探偵小説を書いていて、どれも面白いのですが、特にすきなものを挙げていきます。)

殺人が起き、その真相について、関係者や、警察や、みんなが考える。そして最後に、思いもしない真相が明かされる。

ミステリの定番の展開を取りながら、その時代には、あるいは今でも難しいテーマに果敢に挑み、まったく新しい、他にはない作品になっています。

徐々に明かされていく真相が、事態が次々と転がりあらわれる複雑な様相が、とにかく構成力が素晴らしい。

夢野久作でとくに素晴らしいのが、読後感です。最後の数ページの怒涛の展開と、衝撃的でありながらどこか切なく、考えさせられるようなラストがよいです。

二重心臓

二重心臓

6.夢野久作/『瓶詰地獄』43ページ

漂流した兄妹が海に流した、3本の瓶に入っていた手紙の内容が、流した順とは逆に記されています。

こういう手紙の形をとったミステリはよくみますが、やはり構成がすごいです。そして、最後の、一番はじめに流した手紙を読んだ後のなんとも言えない心情は、実際に読んで感じて欲しいです。

瓶詰地獄

瓶詰地獄

7.夢野久作/『冗談に殺す』77ページ

「もしも自分がひとを殺したら」「完全犯罪とは」

ミステリ好きなら考えたことはありそうな事ですが、それを実際に殺人を犯した男の目線で書いています。

犯人の心理描写が丁寧で、実際に殺人を犯した人間の葛藤や緊迫感が味わえます。ラストもよいです。

8.夢野久作/『衝突心理』37ページ

ただのトラック事故が、とある過去の因縁を引き出してくる。徐々に明かされていく真相。しかし最後の数ページですべてひっくり返る。

短く、劇のようにまとまった構成が面白いです。

衝突心理

衝突心理

9.夢野久作/『一足お先に』211ページ

足を失って入院した男が、無くした脚の夢を見る。しかしそれは、夢とも思えず、自分は見たことのない景色について何故か知っている。ただの夢か、それとも自分は夢遊病を起こしたのか。

夢と現実が交錯し、足元が崩れていくような感覚に陥ります。

事実が二転三転する構成がすごい。


古い時代に書かれた本は、人権意識も倫理観も無かったり、ひどい偏見が、作者には当然のことのように書かれていたりして、現代の人は不快になったりいらいらさせられることがあります。

なるべくそういった要素の少ないものを選んだつもりです。