凪のお暇4巻を読んで〜自分がめっちゃ大事だと思ったこと〜
前の記事では長々自分語りに費やしてしまったので、4巻を読んで、すげー大事だなと思った、自分が得た教訓を書きます。
幸せの青い鳥は、自分で捕獲しなきゃいけないってことです。
実生活が辛い人にはあるあるだと思うんですが、本の世界への逃避から始まり、ネット環境を得ることでネットに逃避し、しまいにはネット依存気味になるということです。
初めてネットに触った時は、出来る事がたくさんあって、いちいち感動したものですが、今思い返すと、ネットの中で何に感動したかなんて、全く覚えていません。
自分の中に、何も残っていないのです。
ネットをしている間は時間を忘れるほど楽しくて、けれど、現実に帰ると自分の時間は全く進んでいません。もう夜なのに、お風呂もまだ、洗濯物干しも途中、勉強も進んでいない、あれだけ好きだった本も平積みです。
前回海に行った話をしましたが、そして4巻でも海に行くエピソードがありますが、まさにそれです。
自分はそれまで、海なんてネットで検索すれば画像で出てくるじゃん、と思っていました。
あまり擦れていない、斜に構えたりもしない子どもだったとは思うのですが、そういう分かった気になっているところがありました。作中の凪ちゃんとおんなじ心境です。
それでも、自分は海に行って、めちゃくちゃ感動しました。
もしかすると、親と一緒に行ったらそうは思わなかったでしょう。海のことが嫌いになっていたかもしれません。
一人で海に行ったとしても、また違った感想を抱いたでしょう。自分は自己評価が低かったからです。
友達に対して素直な気持ちがあったからこそ、素直に感動できたのだと思います。
また、その時の光景は、今でも鮮明に頭の中に思い描くことができます。
すごく天気が良かったこと。からっと晴れていて、日差しが目を焼いたけど、決して不快じゃなかったこと。空がすごく青かったこと。海も同じくらい青かったこと。水平線が、ずっと遠くにあったこと。遠くに見える島に、カモメがたくさん飛んでいたこと。友達の爪がネイルできらきらと光っていたこと。
自分はその時、自然と写真を撮りました。今まで写真を撮る習慣なんてなくて、他人が写真を撮る気持ちも分かりませんでした。
けれど、その時、はじめて写真を撮りたいと思う気持ちがわかりました。
これか、と思いました。
自分で撮った写真は、すごく綺麗でした。
その時はとくにSNSに投稿したりしていなかったのですが、ひとに見せたくなる気持ちもわかりました。
ネットで見た海の画像は一枚も思い出せませんが、その日撮った写真のことは、色鮮やかに思い出すことができます。撮った枚数まで覚えています。
そして、かつて写真を撮ってネットに上げている友達を、どうしてそんな意味のないことをするのだろうと思って先入観で見ていた自分を、恥ずかしく思いました。
これも、凪ちゃんと同じ心境ですね。
運悪く自分を育ててもらえなかった自分達は、自分で自分を育てていかなくてはいけないのだと思います。
幸せの青い鳥は、いわばレベルアップ報酬です。
幸せを探しに行くことで、さまざまな失敗をし、酸いも甘いも噛み分けて、経験値を稼ぎます。
経験値を稼ぎ、人生観がレベルアップしたところで、はじめて目の前に転がっている幸せに気づきます。
体を壊して養生の大事さに気づき、忙しくなって時間の貴重さに気づく。
知識として得たそれと、実体験として得たそれでは、得られる経験値が、実は全然違います。
他人から与えられた青い鳥は、自分のものになってはくれません。
自分で掴みにいった幸せには、さまざまな思い出が付随します。
「あの時は焦りすぎて失敗したよね笑笑人生の底がここかと思った笑」という紆余曲折の思い出こそが、青い鳥を青い鳥たらしめていると言えます。
幸せの形は、自分で選ぶことができます。
目的であったはずの幸せが、ただの手段であったと気付くのです。
今つらい人も、昔つらかった人も、がんばりました。えらいです。
自分も高校生の時は、卒業することが怖かったです。ようやく自由になれるのですから、同級生たちほど恐れてはいませんでした。けれども、自分達の世代は大人になることが恐ろしいことのように言い伝えられていましたから。
でも、大人になるってことは、悪いことじゃないです。何でも自分でできます。自分でどこへでも行けます。補導もされません。
自分で幸せを掴みにいけます。
自分にとっての青い鳥は、おいしい食べ物と、自分を長年支えてくれた本・創作活動・友達・自分です。
これらの共通点としては、他の誰でもない自分が自ら選んで、掴みにいったものということです。
つらかった時期、一度は手放しそうになったし、離れたこともあったけど、やっぱり最後には持っていたものです。
同作者さんの『珈琲いかがでしょう』も、人間を様々な切り口から描いていて、その実全部がありふれた恥や失敗で、共感も羞恥もあって面白いです。
また、一話完結型でありながら一つの大きな物語が進む群像劇っぽいところも好きです。
これからは読書体験記とか書こうかな。
夢野久作の『鉄槌』
入江君人の『神さまのいない日曜日』は全人類読むべき。
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